スペインから欧州全域へ 日本のおいしさを届け続ける 「コミンポート社」の挑戦
2026/07/31
「コミンポート社」の取り組み
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宝グループのビジョン『Smiles in Life〜笑顔は人生の宝〜』の実現を目指す、さまざまな挑戦や取り組みをお伝えする「TaKaRa STORIES」。これまでの記事において、英国で日本食マーケットを牽引するグループ会社「タザキフーズ社(記事はコチラ)」や、ロンドンを拠点にヨーロッパに和酒の魅力を発信する「欧州推進室(記事はコチラ)」など、グローバルな取り組みを紹介してきた。
そして今回テーマにするのは、スペイン・ポーランド・ポルトガルで日本食や和酒の普及を推進する「Cominport Group(コミンポートグループ、以下:コミンポート社)」について、特にスペインにおける取り組みに焦点を当て紹介する。1995年の創業時から、日本商品や魚介類を中心に扱い、日本のカルチャーを含めその魅力を届け続け、2014年からは、宝グループの一員としてさらにその活動を進化・拡大させている。
スペイン・マドリードでは、食のトレンドを発信する世界的イベント『Madrid Fusión』が開催されるなど、食への関心が高く、日本食や日本酒の情報発信も活発に行われている。
そのスペインにおける、日本食・日本酒のトレンドやコミンポート社の取り組みなどについて取材した。
本格的な日本食の魅力をスペインへ届けるコミンポート社
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最初に、コミンポート社の概要について紹介する。スペインにおいて1995年に創業し、マドリードやバルセロナの日本食レストランに、スペイン屈指のウニの名産地である、ガリシア地方産「生ウニ」の販売を開始。そこから徐々に輸入商品を増やし、イクラやウナギなどの魚介類、さらには焼きのりや調味料をはじめとした日本食材も取り扱うようになった。日本食や日本食材の魅力を、スペインのお客様に30年を超えて届けている企業だ。
コミンポート社のハイメ共同創業者兼CEOに詳しく訊いた。
―スペインで日本食材を扱うようになったきっかけを教えて下さい
「1995年の創業時はまだ、スペインで日本食はあまり知られていませんでした。日本食レストランは数軒しかない状況で、日本食材を入手することも困難でした。
そこで私たちは、食を通じて日本とスペインを繋ぎたいと考えたのです。私たちの最初の商品の一つは、スペイン産『生ウニ』でした。その鮮度と高い品質は、日本食レストランからたちまち高い評価を受け、寿司を中心にスペインでの日本料理への関心の高まりに貢献しました。その後、取扱商品のラインアップを徐々に拡大していきました。水産物を中心とした事業としてスタートした当社ですが、現在では伝統的な日本料理店からフュージョンレストランまで、幅広い日本食材を供給できる企業へと成長しています。」
―現在のコミンポート社の取り組みを教えて下さい
「当社は幅広い商品をラインアップしています。最高品質のクロマグロをはじめとする水産物から米、ソースや調味料など、多種多様な日本食材を提供しているほか、調理器具などの食品以外も取り扱っています。
さらに、冷蔵・冷凍・常温の各温度帯の商品を取り扱うことができるため、お客様に総合的なサービスの提供を可能にしています。多くのレストランがコミンポートからの仕入れのみで、ほとんどのニーズを満たすことができるようになっています。
日本料理の高い基準を満たす商品を提供し続けることが私たちの目標で、特に水産物に関しては品質・安全、そして安定的な供給を重要視しています。」
―コミンポート社のこだわりとは?
「私たちは、事業を展開するスペイン、ポルトガル、ポーランドにおいて、商品に関する深い知識と市場への高い理解を有しています。そのため単に商品を供給するだけでなく、それぞれの市場のニーズに合わせた食材やソリューションの提案を通じて、お客様をサポートしています。
コミンポート社は商品の品質だけでなく、豊富な専門知識、優れた物流ネットワーク、さらに国内各地の拠点を通じて顧客に寄り添うきめ細かなサービスにより、高い評価を得ています。
日本のお客様に限らず、スペインのレストランや食品産業といった日本人以外のお客様との接点も多く、この分野において先駆者でありリーダーとしての地位を築いています。
現在はスペイン国内に5つの拠点を構えるほか、ポルトガルおよびポーランドにも営業拠点と倉庫を展開しています。1,200点を超える商品ラインアップと約5,000社の顧客基盤を有し、より幅広く充実したサービスを提供できる体制を整えています。」

―マグロ解体ショーなどユニークな取り組みも実施しています
「スペインは世界でも有数のクロマグロの産地です。また、ヨーロッパ最大のマグロ消費国でもあります。そのため、マグロは当社にとって最も重要な商品の一つであり、あらゆる業態のレストランから安定した需要があります。マグロの解体ショー『ronqueo(ロンケオ)』は、コミンポート社の非常に魅力的な取り組みの一つです。お客様やシェフに対してマグロのさまざまな料理への応用や、あまり知られていない部位のカットを紹介できるほか、この素晴らしい食材に関する知識を共有し、ショーの最後には試食も行っています。
コミンポート社は社内に専門の職人(カッティングのプロフェッショナル)を擁しており、これらのイベントを活用して日本のお酒、特にスパークリング日本酒『澪(Mio)』の紹介や試飲の機会も提供しています。
このような体験は、日本酒にまだ馴染みのない消費者との距離を縮めることにつながると考えており、日本酒の認知向上に向けたとても貴重な取り組みであると認識しています。」
「ronqueo(ロンケオ)」の様子
―マグロ解体ショー「ロンケオ」を通じて感じたお客様の反応や手応えとは?
「参加した皆さまの反応では、驚きや学びの声が多く聞かれます。多くのお客様がそれまで知らなかったマグロに関する知識を深め、当社の専門スタッフと直接話ができる点を高く評価しています。
また、このようなイベントはリラックスした雰囲気の中で開催され、他におすすめの日本の商品を紹介することも可能にします。日本の食文化にまだ触れ始めたばかりのお客様に対して、新しい食の体験を提供できる点でも価値があると考えています。」
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大勢のお客様の前で「ロンケオ」を実施
スペインでも認知が広まる 日本発の多彩なおいしさ
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引き続きハイメCEOに、スペインにおける日本食や日本のお酒のトレンドなどについて話を訊いた。
―スペインで日本食はどのように受け入れられてきましたか?
「この30年間で、日本食はスペイン及び欧州地域で大きな成長を遂げています。スペインでは寿司が依然として最も人気の高い日本料理の一つで、魚や魚介類を日常的に消費する強い食文化があることから、今では一般的な外食メニューの一部となっています。
その他に現在では、ラーメンや天ぷら、餃子といった料理も人気が高まっています。さらにパン粉やゆず、味噌などの日本食材は、いまや広く知られるようになり、さまざまな場面で活用されています。
また、日本食材が日本料理店に限らず広く使われるようになっていることも近年の傾向です。多くの現地レストランが日本食材や日本食の技術を取り入れ、新たな料理の提案を行っています。」

スペインで提供されているラーメン
マグロの上にパン粉を乗せて提供
「さらには、日本食が独自に進化している例は多くみられており、例えば寿司では、日本の寿司がアメリカに渡ってカリフォルニアロールが生まれたように、裏巻きされたロールの上からスパイシーマヨネーズや照り焼きソースなどをかけたり、胡麻やふりかけ、天かすなどをトッピングしたりするスタイルが一般的です。
また、サーモンやアボカド、クリームチーズ、イベリコ豚などを組み合わせた創作寿司も人気が高く、こうした背景もあり、寿司用のソース類やふりかけなど、日本の調味料に対する需要は年々高まってきています。
私たちの経験から見ても、日本食材の品質の高さ、多様性、そして応用の幅広さは、今後もスペインおよび欧州におけるさらなる成長を後押ししていくと考えています。」
イベリコ豚を使用したお寿司
―日本食ビジネスを手がけ、苦労したことなどがありましたら教えて下さい
「税関手続きや商品のラベル表示に関して、いくつかの困難がありました。これらは当時まだ新しい商品であり、公的機関においても十分な理解が得られていなかったためです。こうした状況は近年大きく改善されましたが、依然としていくつかの制約が残っており、とりわけ動物由来原料を含む商品については、規制が厳しく課題が山積しています。」
―スペインで日本食の人気が高まっている理由をどのように考えていますか?
「スペインをはじめ欧州の消費者は、日本料理に関連する本格感や品質、さらには健康面のメリットにも大きな関心を示すようになっています。伝統的な食材の品質の高さや味わいに加えて、やはり日本食が健康面で良いイメージが持たれていることも、人気の理由の一つだと考えています。」
―スペインの飲酒文化やスタイルはどのようなものですか?
「スペインではワインやビールの消費が深く根付いた文化があり、レストランでも家庭でも食事とともに、または家族や友人とタパス(酒とともに楽しむスペインの小皿料理)を囲みながら楽しまれています。短時間で大量に飲むというよりも、スペインでは食事や会話に十分な時間をかけながら、リラックスした雰囲気で社交的にお酒を楽しむ傾向があります。
近年では、アルコール度数の低いお酒への関心に加え、日本食をはじめとする新たな食体験への関心も高まりつつあります。」
―日本酒など“和酒”の広がりはどう感じていますか?
「日本生まれのアルコール飲料への関心はスペインでも高まっていると感じていますが、日本酒は依然として多くのスペイン人消費者にとっては認知度の低い商品です。
しかし、一度試飲する機会があると、非常に好意的な反応が得られることが多いです。特に、先ほども言ったように、ロンケオでも提供している『澪(Mio)』は、そのアルコール度数(5%)が、現在の軽くて飲みやすい飲料を求めるトレンドに合致します。このような商品をさらに普及させるためには、認知を高める取り組みや、試飲の機会の拡充、そしてより手に取りやすい機会や販売場所を増やしていくことが重要です。」イベントで「澪」等の日本酒を紹介する様子
コミンポート社と宝グループの 挑戦は始まったばかり
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最後に、ハイメCEOに現在や未来について語ってもらった。
―コミンポート社は現在、宝グループの一員です。そのきっかけや感じるシナジーについて聞かせてください
「宝グループとは、以前より取引関係があり、長年にわたり非常に良好なパートナーシップを築いていました。
その価値観やグローバル展開に向けた戦略に共感し、リーダーシップを重視する姿勢を共有できると考えました。さらに、宝グループは、業務プロセスの改善、コンプライアンス体制の強化、サステナビリティ目標への取り組みを通じて、当社の組織運営の高度化や経営基盤の強化にも貢献しています。
コミンポート社はこの統合によって、日本との関係をさらに強化し、新たな商品の調達機会を拡大するとともに、グループ企業間での知見の共有が可能になりました。その結果、お客様のニーズにより適切に応えながら、欧州市場におけるさらなる成長を実現することができました。
また同時に、これまで培ってきた地域市場に対する理解と顧客との近い関係を維持し、ローカル企業としての強みと宝グループの国際的なネットワークと支援を組み合わせることも可能になりました。これからを見据えた時に、とても大きなメリットです。」
―苦労もありながら創業30年を超えての所感をお聞かせください
「コミンポート社の30年のこれまでの歩みの中で最も重要なものの一つは、スペインおよび欧州における日本食の普及と成長です。創業当時、日本食市場はまだニッチな市場に過ぎませんでした。しかし、その後、消費者の関心や認知度は年々着実に高まり、市場は大きく成長してきました。取扱商品も拡充し、私たちは水産品中心の事業からお客様のニーズに応えるために幅広い日本食材を提供する形へと発展し、それに合わせる形で我々も倉庫を新設するなど確実に事業拡大を行っています。」
スペインのオカーニャに2025年設立した新設の物流倉庫
「同時に、スペイン、ポルトガル、ポーランドへと事業を拡大し、商業面および物流面の両方において顧客に近い存在であり続けることを目指してきました。そして、宝グループへの参画も重要なステップとなりました。これにより日本との関係をより強固にし、欧州における事業発展の機会を広げることができました。
このように振り返ると、コミンポート社の成長は、常に欧州における日本食の発展と拡大に連動しており、さらに自らの成長への強いコミットメントによって支えられてきたといえます。欧州における日本食の発展に寄り添い、貢献してきたことを誇りに思っています。」
―今後の展望についてお聞かせください
「コミンポート社はこれからも、あらゆるお客様に対して、日本食材をより広く届けていきたいという強い思いを持ち続けます。
対象は日本食レストランにとどまらず、現地料理やフュージョン料理のレストラン、さらにはサッカースタジアムのケータリング、ホテル、食品産業にまで広がっています。これまで大切に育ててきた事業を、これからさらに拡大・加速させていきたいと考えています。
日本食も和酒も、まだまだ認知度を高めていく必要があり、取り組むべきことは多くあります。コミンポート社としてはもちろん、宝グループと一つになって、日本食や和酒の魅力をスペインや欧州に届けていきたいと思っています。」
日本食や和酒の美味しさを、スペインのみならず欧州全域のお客様に発信し届けていく。コミンポート社と宝グループの挑戦は、まだまだ始まったばかりだ。
※コミンポート社Webサイト:https://cominport.com/