サステナビリティ

SUSTAINABILITY

環境

考え方・方針

宝グループ環境方針

宝グループは、地球環境の保全と事業活動の調和を経営の重要課題のひとつとし、環境マネジメントシステムを構築して継続的な改善に取り組み、持続可能な社会づくりに貢献します。

  • 1.環境に関連する法令および組織が同意するその他の要求事項を順守します。
  • 2.宝グループが行う事業活動の中、以下の項目について重点的に取り組みます。

    ①環境汚染の予防に努めます。

    ②省エネ・省資源を推進し、持続可能な資源の利用に努めます。

    ③温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動の緩和に努めます。

    ④生物多様性や生態系の保護・保全に関わる活動を推進、支援します。

    ⑤容器包装の3R※への対応など、環境に配慮した商品開発に努めます。

  • 3.環境活動への取り組みや環境パフォーマンス情報を積極的に開示し、社会とのコミュニケーションに努めます。
  • 4.本環境方針は、教育啓発活動を通じて宝グループの全構成員に周知するとともに、社員の社会貢献活動への参加を積極的に支援します。

  • ※3R:Reduce,Reuse,Recycle の略

体制

宝グループ環境マネジメントシステム

ISO14001に基づく環境マネジメント体制を確立

宝酒造の全工場、本社、および宝ホールディングス、宝酒造インターナショナルの本社で、ISO14001の認証を取得しています。
ISO環境本部を中心に、経営と直結した目標に向かって活動しています。

宝グループ環境マネジメント体制

目標

取り組みテーマ 具体的施策 目標
気候変動問題への対応 CO2排出量の削減

[2030年度]

【宝酒造・宝酒造インターナショナルグループ】

・生産拠点におけるCO2排出量を2018年度比で46%削減する。

【タカラバイオグループ】

・CO2排出原単位(売上高当たりのCO2排出量)を2018年度比で50%削減する。

【宝酒造(物流部門)】

・宝酒造製品の輸送におけるCO2排出原単位(出荷数量当たりのCO2排出量)を2018年度比で10%削減する。

[2050年度]

【グループ全体】

・宝グループ連結でCO2排出量を実質ゼロにする。

適正な水使用 地域の特性に配慮した水の使用

【宝酒造】

・2025年度までに、宝酒造の用水原単位(生産数量当たりの用水使用量)を2017年度比で15%削減する。

・水源保護、廃水保全の取り組みを継続する。

廃棄物排出の抑制 工場廃棄物の削減および再資源化の推進

【宝酒造】

宝酒造の製造工程における廃棄物の再利用率98%以上を継続する。

フードロス削減への取り組み

【宝酒造】

・希少な国産果実をはじめとした原料の有効利用率を向上させる。

・自社商品やそれを利用した加工食品のロングライフ化を進める。

環境に配慮した製品パッケージ、梱包への対応 環境に配慮した製品の開発

【宝酒造】

・量り売り製品の販売を継続する。

・3Rに配慮した持続可能な容器包装の導入を進め、2050年度までに100%を目指す。

・紙パック製品の森林認証紙化を進め、2030年度までに100%を目指す。

・紙、樹脂ラベルへのバイオマスインクの使用率を2025年度までに100%を目指す。

【宝酒造インターナショナルグループ】

・海外各国の法規制等に則り、プラスチック軽量化商品の開発と切替を継続する。

【タカラバイオグループ】

・紙パッケージの森林認証紙化を進め、2025年度までに100%を目指す。

・片面アルミパウチのアルミレスパッケージの採用率を2025年度までに100%を目指す。

・紙パッケージへのベジタブルオイルインクの使用率を2025年度までに100%を目指す。

リサイクル啓発冊子の無償配布

【宝酒造】

希望者への無償提供を継続する。

生態系・生物多様性の保全 生態系や生物多様性を守る活動や研究への助成

【宝HLD】

・タカラハーモニストファンドによる助成を継続する。

【宝HLD・宝酒造】

・各事業場における地域貢献活動を継続する。

関連するSDGs

  • 08
  • 12
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取り組み

TCFDフレームワークに基づく開示

宝グループは、地球環境の保全と事業活動の調和を経営の重要課題のひとつと位置づけ、積極的に取り組みを進めています。
当社グループでは、気候変動が事業の持続性に影響を与える重要な問題であると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同するとともに、TCFDフレームワークに沿って気候変動に関するリスクと機会の評価と対応を進め、関連する情報の開示を行いステークホルダーの皆様と対話を続けていきます。
また、当社は、TCFD提言に賛同する企業や金融機関が協力して取り組みを推進し、企業の効果的な情報開示や金融機関の適切な投資判断を支援するための議論の場であるTCFDコンソーシアムに加盟しています。当社グループの気候変動に関する方針は、TCFDコンソーシアムの方針と一致しています。

気候変動への対応

CO2排出量削減ロードマップの策定

宝グループでは、サステナビリティ・ビジョンにおける目標として、

達成年度

対象範囲

削減目標

2030年度 宝酒造+宝酒造インターナショナルグループ

生産拠点におけるCO2排出量を46%削減(2018年度比)

タカラバイオグループ

CO2排出量単位(売上高当たりのCO2排出量)を50%削減(2018年度比)

2050年度 グループ全体

CO2排出量を実質ゼロ



を掲げ、CO2排出量削減に取り組んでいます。
2021年に「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」において、パリ協定および日本政府の排出削減目標に整合した、「2030年までにCO2排出量を46%削減、2050年までに実質ゼロ」という排出量削減目標を策定しました。2022年には、ガスボイラーの活用や太陽光パネルの導入などの施策を含む、排出量削減計画を策定しました。2024年には、CO2フリー電力の使用や省エネ設備の導入といった施策を加え、排出量削減計画をブラッシュアップし実効性を高めました。

この削減計画は、脱炭素社会の実現に向けて、環境変化への対応や技術開発など、エネルギー使用の削減や抑制、効率改善のために、常に最適な取り組みを行うことを目的に随時更新していきます。




○宝酒造、宝酒造インターナショナルグループの生産拠点の
CO2排出量(Scope1,2)削減目標および削減計画

酒+インタGHG


○タカラバイオグループの生産拠点の
原単位あたりのCO2排出量(Scope1,2)削減目標

酒+インタGHG


温室効果ガス(GHG)排出量算定範囲の拡大

宝グループでは、Scope1,2,3の算定範囲を段階的に拡大しており、2022年度は宝HLDおよび宝酒造、2023年度は宝酒造インターナショナルグループの海外酒類事業を新たに算定しました。宝グループ全体のGHG排出量を把握するため、今後は、海外日本食材卸などに、算定範囲を拡大していきます。

GHG排出量への第三者認証の取得

また、2024年1月に宝ホールディングス・宝酒造の温室効果ガス(GHG)排出量の算定(2022年度実績)に対して、国際的な基準であるISO14064-3に準拠した第三者検証を一般社団法人日本能率協会から受けました。今後はGHG排出量の把握とともに認証取得の取組を維持・拡大していきます。

生産工程におけるCO2排出量削減

宝グループの2023年度の生産工程におけるCO2総排出量は99.3千t-CO2となり、前期比では4.8%の減少、2018年度比では15.0%の減少となりました。これは、グループ全体のCO2排出量の8割以上を占める宝酒造の生産工程で、高効率ボイラーへの更新、重油ボイラーの燃料転換、蒸留排温水の熱回収効率化など省エネ設備の導入や設備運用の適正化に取り組んだ効果によりCO2排出量が81.3千t-CO2となり、前期比4.2%の減少となったためです。このほか、宝酒造インターナショナルグループは排出量が横ばい、タカラバイオグループでは宝生物工程(大連)で再生可能エネルギー電力を一部使用したため減少しました。

生産工程でのCO2排出量削減の取り組み事例
  • 高効率ガスボイラー、重油ボイラーのガス化等の省エネ設備の導入
  • 殺菌温水の廃熱再利用
  • コージェネレーション(熱電供給)システムの利用促進

宝グループ生産工程での
CO2排出量(総排出量)の推移

宝グループ生産工程のCO2排出量(総排出量)の推移
使用電力の実質再生可能エネルギー由来100%化と蒸気ボイラー燃料のLNG化

宝酒造では2025年1月に、宮崎県の工場「黒壁蔵」の敷地内に年間発電容量1,437 MWh相当の太陽光発電設備を設置しました。 また、2025年2月から、黒壁蔵で使用する電力を実質再生可能エネルギー由来100%に切り替えたことにより、実質再エネ100%化を実現しました。この太陽光発電設備の設置費用の一部は、2024年7月に明治安田生命保険相互会社のESG融資フレームワーク「MYサステイナブルファイナンス」を活用したグリーンローンとして資金調達しました。

さらに、黒壁蔵では2025年1月から、焼酎を蒸留する際に使用する蒸気ボイラーの燃料を重油から環境負荷が低い液化天然ガス(LNG)に転換しました。この施策は2023年度のSHIFT事業から補助金を得て実施いたしました。これにより、宝酒造の日本国内全ての工場で蒸気ボイラーのLNG化が完了しました。

これらの取り組みにより、黒壁蔵全体で年間約3,579 t、約40%(2023年度比)のCO2排出量を削減できる見通しです。

黒壁概観と太陽光パネル
物流工程でのCO2排出量削減

宝酒造では、物流の効率化や省エネ運転、モーダルシフトの推進、トラック輸送やタンカー輸送における製品積載率の向上など、輸送時のCO2排出量の削減に取り組んでいます。2023年度の物流工程におけるCO2排出量は13.2千t-CO2、基準年度である2018年度比は17.5%の削減となり、目標を達成しています。

物流工程でのCO2排出量削減の取り組み事例
  • フェリー、鉄道などへのモーダルシフト
  • 消費地生産による東西拠点間の転送の削減
  • 物流子会社による高積載トラックの開発

宝酒造の物流工程での
CO2排出量(総排出量)の推移

宝酒造の物流工程のCO2排出量(総排出量)の推移
再生可能エネルギーの利用拡大

宝グループでは、グループ会社各事業場での、再生可能エネルギー由来の電力購入や太陽光発電パネルの導入などを積極的に進めています。

例えば、宝ホールディングス歴史記念館では太陽光発電パネルを導入し、設備はオール電化設定のため、再生可能エネルギー由来の電力を使用することで使用しているエネルギーがCO2フリーとなっています。

その他にも、英国のトマーチン社工場や、タカラバイオ本社でも太陽光発電パネルを設置しています。
記念館
タカラ物流におけるEVフォークリフトの導入や共同配送の推進
タカラ物流では、以前からEVフォークリフトの導入を進めています。重量物を扱うため電動化が困難であった箇所のフォークリフトについても2023年から順次切り替えています。現在は東西の拠点において61台中43台のEVフォークリフトを導入しており、これによりLPGの使用量削減によるCO2排出量を削減しています。今後も、脱炭素社会の実現に向けて、フォークリフトのEV化や共同配送等による配送効率向上を進めていきます。
EVフォークリフト
「節水型乾田直播栽培」で生産したお米の使用によるメタンガス排出量削減の取り組み

宝酒造は、2025年1月に「節水型乾田直播栽培」で生産したお米を購入しました。「節水型乾田直播栽培」とは、バイオスティミュラントと呼ばれる農業資材を活用して、水を張らない状態の圃場に種子をまき、稲が出芽した後も圃場に水を張らない栽培方法です。

圃場に水を張らないことにより、

・栽培時のメタンガスを77.5%削減(2024年9月埼玉県の圃場での調査時時点、※NEWGREEN社調べ)

・水資源の使用量削減

・お米生産者の労力やコストの削減

といった効果が見込めます。 宝酒造では、このお米を日本酒の原料の一部に使用することで、製品製造における環境負荷の低減を目指して検討を進めています。
稲

持続可能な水資源の利用

水資源に関する考え方

宝グループでは、宝グループ環境方針に省エネ・省資源を推進し、持続可能な資源の利用に努めると掲げており、限りある水資源を持続可能な状態で利用し続けていくために、水資源使用量を削減することの重要性を認識し、使用量の削減および適正化を推進していきます。

生産工程での用水使用量の削減と原単位の推移

宝グループの2023年度の生産工程における用水の総使用量は613万㎥となり、新たに導入した節水設備等の効果により、前期比で5.5%の減少となりました。また、宝酒造の用水原単位(生産数量当たりの用水使用量)は基準年度である2017年度に対して、12.9%の削減となりました。

宝グループ生産工程での
用水使用量の推移

宝グループ生産工程での用水使用量の推移

宝酒造の原単位あたりの
用水使用量の推移

宝酒造の用水使用量
製造拠点が立地する国ごとの水ストレス状況の把握(水リスク評価)

宝グループにとって、水は製品を製造するにあたり重要な原料です。特に水の使用量が多い酒類製造拠点では、水ストレスの把握が不可欠と考えています。そこで、世界資源研究所(World Resources Institute)が開発したAqueduct Country Rankingの評価指標「Baseline Water Stress」を活用し、自社の製造拠点が位置する国々の水ストレス状況を確認しています。その結果、日本やイギリス、カナダの計8拠点の水ストレスは低く、中国とアメリカの2拠点では中程度の水ストレスがあることが分かりました。 また、国内の一部工場に、“渇水時の取水制限の可能性”や”地下水の用水許可容量の規制”があります。

酒類製造拠点:日本国内6拠点、海外4拠点

会社名

製造拠点

国名

Baseline Water Stress

宝酒造株式会社

宝酒造の各工場

日本

Low - Medium (10-20%)

宝酒造インターナショナルグループ

The Tomatin Distillery Co.Ltd

イギリス

Low - Medium (10-20%)

宝酒造食品有限公司

中国

Medium-High(20-40%)

Takara Sake USA Inc.

アメリカ

Medium-High(20-40%)

Ontario Spring Water Sake Company

カナダ

Low - Medium (10-20%)

※Baseline Water Stressは5つの区分で分類されます。

Extremely high(極めて高い)、 high(高い)、 Medium-high(中~高)、 Low-medium(低~中)、 Low(低い)

水使用量削減と適正化の取り組み

水は地域社会や生態系と共有する重要な資源であり、製造拠点において適切な使用が求められます。宝グループの製造拠点がある国々には、現在過度に高い水ストレスを抱える地域はありません。しかし、持続可能な水資源の利用を実現するために水マネジメント(取水と節水の管理)の考えに基づいた取水量の削減や適正な利用を推進しています。
当社の製造拠点で使用される水源は、「上水(水道水)」、「工業用水」、「地下水」の3つに分類されます。上水に関しては、地域の関係者と共同で利用し、取水管理を担当する地域の水道局の方針や計画に従い、適切に管理しています。工業用水と地下水については、各拠点が取水の管理主体であるため、積極的に節水や適正な利用を進めています。

また、工場からの排水については、法令で定められた基準を上回る厳格な自主基準を設定し、自社の排水処理設備を用いて水質を浄化し、下水道や河川、海洋へ排水しています。この水質浄化により、水生生物の生態系を保全しています。

環境汚染の防止

宝グループでは、環境方針に環境汚染の予防に努める旨を掲げており、全ての工場で環境汚染防止に取り組んでいます。その一環として、宝酒造の一部工場では排水処理設備を導入し、河川の汚染防止に努めています。今後も、環境汚染予防および汚染防止を推進してまいります。

水使用量削減と適正化の取り組み事例
宝グループでは、持続可能な水資源の利用を目指し、特に水使用量の多い国内工場において優先的に節水と適正化の取り組みを進めていきます。


●節水設備の導入

宝酒造黒壁蔵では、製造設備の洗浄や冷却に井戸水を使用していますが、2021年と2023年に “冷却塔(クーリングタワー)”を導入し、水を繰り返し使用することで、年間約400,000 tの水使用量を削減しています。



クーリングタワー

クーリングタワー



●洗浄水・冷却水の再利用

宝酒造松戸工場では、製造設備の維持・管理のために井戸水を使用していますが、2000年から洗浄水や冷却水を回収して工業用水として再利用しています。この取り組みにより、年間125,000 tの用水使用量を削減しています。



●殺菌用温水の再利用

宝酒造伏見工場では、2021年より製品を殺菌する際に必要な設備であるパストライザーの温排水を回収し、生産設備であるボイラーの用水として再利用しています。これにより、年間18,000tの用水を削減しています。



パストライザーとボイラー

殺菌設備とボイラー



●工場排温水の再利用による地域の水使用量削減

宝酒造島原工場では、井戸水をボイラーで蒸気にしています。蒸気として使用した後のきれいな排温水を近隣住民の方に生活用水として提供することで、地域の水使用量削減に貢献しています。 その他にも、温泉や温水プールを温めるためにも活用されています。

廃棄物排出の抑制

廃棄物排出に関する考え方

宝グループでは、環境方針に省エネ・省資源を推進し、持続可能な資源の利用に努めると掲げる通り、サーキュラーエコノミーを推進するため、食品副産物の飼料化・肥料化、プラスチック資源の使用量削減など廃棄物排出の抑制を進めていきます。

工場廃棄物の削減および再資源化によるサーキュラーエコノミーの推進

宝酒造の工場では、焼酎粕などの副産物や排水処理汚泥、原料や容器の運搬資材などの廃棄物が発生します。その対策として、焼酎粕などの食品系副産物の飼料化・肥料化、酒パック損紙のリサイクルなど、工場廃棄物排出量の削減に取り組んでいます。
2023年度の宝酒造の廃棄物排出量は5,174t(再利用率98.1%)で、目標としている再利用率98%を達成しています。


プラスチック資源削減の推進

プラスチックによる海洋の汚染や生態系の破壊などの様々な環境問題に対応するため、プラスチック資源循環促進法の遵守をはじめとし、国内生産拠点においてプラスチック産業廃棄物およびプラスチック混合廃棄物の削減目標を策定しています。2023年度は2022年度比1.0%以上の削減を目標とし、12.7%(32 t)削減することができました。2024年度は2023年度比4.1%削減の目標を策定し、より積極的にプラスチック資源の削減を進めてまいります。

廃棄物削減の取り組み事例
  • 焼酎粕飼料化設備の導入
  • 排水処理汚泥の減容化
  • 堆肥メーカーとの共同事業による使用済み活性炭の有機肥料化(再資源化)
  • 焼酎のはかり売りによる容器削減
  • 壜・缶製品の容器軽量化
  • ラベル・シール等の廃止

宝酒造の廃棄物排出量の推移と再利用率

宝酒造の廃棄物排出量の推移と再利用率
飼料化設備

2005年9月、黒壁蔵に「焼酎粕飼料化設備」を導入しました。従来、焼酎かすはセメント原料として再利用していましたが、この設備を導入することで、芋や麦の焼酎かすに含まれる有効成分を分離・濃縮・乾燥して配合飼料原料として再利用するほか、微量の残留アルコールを回収し、施設内のボイラー燃料として活用するなど有機廃棄物の再資源化を実現しています。近年、本格焼酎の需要拡大に比例し、多くの焼酎かすが発生しています。黒壁蔵ではこれらを家畜飼料の原料に再生することで「ゼロエミッション化」を推進しています。

飼料化設備

酒粕・みりん粕のアップサイクル促進

タカラ物産では、清酒およびみりんの製造工程において発生する副産物である「酒粕」や「みりん粕」を 宝酒造からほぼ全量を廃棄せずに利用しています。 また、「酒粕」については他社からも引き取ることで、より多くの副産物のアップサイクルに貢献しています。

具体的には、家庭用としての販売に加え、漬物や甘酒の原料、飼料などです。今後も持続可能な社会の実現のため、サーキュラーエコノミーを推進してまいります。

酒粕と漬物
フードロス削減への取り組み

宝酒造には、希少な国産果実を原料に使った商品があります。
果実には果汁以外にもおいしく使える部分がありますが、その多くは果汁を搾った後に使われずに捨てられてしまいます。果皮などの未利用部位からおいしさを取り出す技術を開発し、国産果実の利用率を向上させることで、フードロス削減に取り組んでいます。

環境に配慮した製品パッケージ、梱包への対応

環境に配慮した製品の開発とプラスチック削減

日本では、一般家庭から出るごみの約6割(容積比)が容器包装で占められています。宝酒造では、「環境に配慮した商品開発のための指針」や「環境配慮型商品開発に関する手順書」を作成し、リデュース(減量化)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)の3Rに配慮した資材調達や商品開発による容器包装の使用量削減を進めています。また、3Rにリフューズを加えた宝酒造独自の取り組み(4R)として、焼酎のはかり売りを展開しています。新たな容器を購入せず必要な分だけ中身を買うため、資源の節約とごみの削減につながります。1998年の開始以来2024年3月までに、2.7ℓペットボトル換算で約1034万本を節約することができ、この量のペットボトルを製造するのに排出されるCO2量約2603 t-CO2を削減できていることになります。
これらの環境配慮型商品開発数やプラスチック排出量について、ISO14001の環境目標を設けて、環境負荷低減を推進しています。

容器包装における環境負荷軽減の取り組み

宝酒造では、紙パック製品や梱包用のダンボールへの森林認証紙の採用やバイオマスインクの使用を進めています。また、壜・缶製品では容器の軽量化やラベル・シール等の廃止にも取り組んでいます。タカラバイオでは、片面アルミパウチパッケージの試薬についてはアルミレス化を進めています。また、紙パッケージについて森林認証紙やベジタブルオイルインクの使用を進めています。
これらの取り組みにより、廃棄物量の削減や環境負荷低減を進めてまいります。

メタンガスを抑制した酒米で造った松竹梅白壁蔵「然土」

宝酒造は2023年から、下記施策により原料である酒米(山田錦)栽培時のメタンガス排出量を抑制した松竹梅白壁蔵「然土」を発売しています。

●田んぼに水を張らない「中干し」期間を慣行より延長

酒米を栽培する際には、田んぼに水を張るため、土壌中の酸素が少なくなりメタン生成菌が活性化します。それによりメタンが生成されますが、田んぼの水を抜く「中干し」期間を慣行より長くとることで、メタン生成菌の活性を抑え、試験区によってはメタンガス排出を70%抑制できました。

● 稲わら腐熟(肥料化)促進の際に、一般的な分解肥料よりもメタンガス排出が少ない肥料を利用

稲わらを田んぼに鋤きこむと分解されて肥料になりますが、稲わらの腐熟(肥料化)促進のために分解肥料を使用することがあります。然土の酒米を栽培する際、一般的な分解肥料よりもメタンガスの排出が少ない分解肥料を利用することで、メタンガス排出を抑制しました。

メタンガス排出抑制に加えて、さらに、通常は廃棄や飼料化される精米後のもみ殻の一部を「然土」のラベル素材に利用することで、アップサイクルも実現しています。

然土

松竹梅白壁蔵「然土」


リサイクル啓発冊子の無償配布

宝酒造では、子どもたちへのリサイクル啓発活動として、飲み物容器のリサイクルの工程を漫画でわかりやすく説明した絵本「リサイクルロード」を作成し、環境活動のホームページで公開しています。

生態系・生物多様性の保全

生物多様性への考え方

穀物や水、微生物といった様々な自然の恩恵のもとで事業活動を行う宝グループにとって、豊かな自然環境が保たれることは事業を継続するうえでの大前提です。宝グループでは、地球環境の保全と事業活動の調和を経営の重要課題のひとつとし、「宝グループ環境方針」を策定しました。「宝グループ環境方針」の中では、「生物多様性や生態系の保護・保全に関わる活動の推進・支援」を重点的な取り組みとして位置付けています。宝グループではこの方針に則り、事業における様々な場面で生物多様性の保全に努めるとともに、外部の団体とも連携しながら、豊かな自然環境の保全を行っています。

生態系や生物多様性を守る活動や研究への助成

宝ホールディングスは、1985年に公益信託「タカラ・ハーモニストファンド」を設立し、以来毎年、日本の森林・草原や水辺の自然環境を守る活動や、そこに生息する生物を保護するための研究などに対して助成を行っています。



贈呈式

贈呈式

環境教育プログラム・宝酒造「田んぼの学校」

宝酒造では、次世代を担う子どもたちに自然環境や生物多様性を守ることの大切さや、自然の恵みのありがたさを伝えることを目的として、「田んぼの学校」を開催しています。小学生とそのご家族を対象に、京都府南丹市の田んぼで、稲作体験や自然観察の授業を年3回にわたって行っています。



自然観察の様子

自然観察の様子


環境マネジメントシステム

国内製造拠点(宝酒造全6工場)および宝ホールディングス本社、宝酒造本社、宝酒造インターナショナル本社でISO14001の認証を取得しています。

宝グループ全体の生産拠点におけるISO14001の認証を受けた事業所の割合は67 %です。

また、ISO14001に基づく環境教育や研修機会を従業員に提供し、社内イントラネットを通じてサステナビリティに関する教育・周知を行うことで、「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」の達成のための社内意識醸成を推進しています。


環境法令の遵守状況

宝酒造では、環境マネジメントシステムISO14001に準じて、環境に関連する法令(フロン排出抑制法、地球温暖化内作推進法、省エネ法、水質汚濁防止法等)を遵守しており、いずれも基準値を下回る排出量となっています。大気汚染の原因の一つでもあるVOCについては、今後も排出量ゼロを維持します。
また、組織が同意するその他の要求事項も遵守しており、過去3年間に環境法令違反による罰金および処罰事項はありませんでした。

環境保全活動への賛同

宝グループは、地球規模の課題である海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた取組を推進するため、CLOMA(Japan Clean Ocean Material Alliance)に加入しています。また、紙パッケージにおいては、FSC、PEFC等の森林認証紙化を進めることで、環境保全活動に寄与しています。

Icons of Whisky Awards 2023 におけるトマーチン社の
「サステナブル・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー」受賞について

英国のトマーチン社がIcons of Whisky Awards 2023において、「サステナブル・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。
Icons of Whisky Awardsは、ウイスキーマガジン社が主催し、毎年エディンバラで開催される英国国内の各分野で優れた人・バー・生産者・小売業者を称える賞です。
トマーチン社はスコッチ・ウイスキー協会(SWA)のメンバーとともに、2040年までに事業活動におけるCO2も含めた全ての温室効果ガスの排出を完全にゼロにするという目標(Net Zero Emissions)達成に向けて取り組んでおり、その取り組みが評価されたものです。

  • ※ CO2も含めた全ての温室効果ガスの排出量を実質(ネット)でゼロにすることで、排出量をゼロにするのではなく、排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにするというもの
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宝グループ環境活動REPORT

宝グループの環境に関するデータ・活動は環境活動REPORTでもご覧いただけます。

ESGデータ