1985年設立 タカラ・ハーモニストファンド助成先の自然保護活動

「ずっと続く、自然への恩返し」

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2026.02.03

山形の自然はみんなで調べて守ろう!モモンガレスキューレンジャーとの保全調査活動

やまがたヤマネ研究会

やまがたヤマネ研究会は、2007年8月に設立された団体です。ニホンヤマネをはじめ、山形に生息する野生哺乳類の調査・研究を行い、その成果を活かした環境教育イベントも実施しています。ニホンヤマネは国の天然記念物に指定されている小型哺乳類ですが、山形県にはその他にも多くの野生動物が生息しています。しかし、外来種の侵入や獣害問題によって、その生息環境は脅かされつつあります。やまがたヤマネ研究会では、こうした現状を知るきっかけとなる場を提供しています。ここでは、その活動の一部をご紹介します。

※ヤマネやモモンガの捕獲には国や都道府県知事等からの許可が必要です

主な活動内容

①野生動物の生態調査・研究
②環境教育活動
③環境調査業務
④野生動物のオリジナルグッズ作成
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タカラ・ハーモニストファンドが、やまがたヤマネ研究会の「山形の自然はみんなで調べて守ろう!モモンガレスキューレンジャーとの保全調査活動」に助成したのは、2018年のこと。
同会は山形県を中心に、動物の生態調査や植物の植生調査を行うほか、子どもたちが参加できる活動を通じて、自然環境に触れながら実際の調査に参加してもらうことで、環境教育にも積極的に取り組んでいます。
その活動の一つに「地域レンジャー」という取り組みがあり、今回は「ヤマネとモモンガの巣箱調査&痕跡探し調査」に参加し、お話を伺いました。

山形県西川町大井沢で活動開始

レンジャー活動は、山形の野生動物や自然の魅力を未来へ伝える人材(レンジャー)を育成することを目的としています。今回の活動場所は、山形駅から車で約1時間の距離にある、大井沢という自然豊かな山村集落です。中学生から大人まで、約15名のレンジャーが参加しました。調査場所となった「社寺林」は、神様の住まいとして大切に守られてきたため、何百年もの間、木が伐採されずに残っていることが多く、様々な生き物や植物を観察することができます。

image調査に伺った社寺林

巣箱の調査

参加した調査では、「ヤマネとモモンガの巣箱調査班」と「巣箱周辺の樹木の植生調査班」に分かれて作業を行いました。巣箱の調査では、一つひとつの巣箱を開け、中にどんな動物がいるかを確認します。脚が1本のはしごを使って巣箱の中を覗き込みます。ヤマネの巣箱は高さ約3m、モモンガは約5mの位置に設置されており、ヤマネの身体に合わせて巣箱のサイズは一回り小さく作られていました。さらに巣箱ごとに目の前の木に定点カメラがついているので、いつ巣箱に入ったのか、どんな様子なのかを観察できるようになっています。

image樹木に設置した巣箱を一つひとつ手作業で確認していきます。

実際にはしごを上らせてもらいましたが、不慣れなはしごで不安定な中、片手で巣箱を開けるのに少し苦戦しました。ヤマネの巣箱を覗いてみると、外敵から身を守れるように間に板が挟まっていました。敷地内にある巣箱は、全部で51個あり、レンジャーのみなさんは慣れているので早かったものの、かなり大変な作業だと感じました。この日は残念ながら、巣箱にヤマネやモモンガの姿は見られませんでしたが、過去に撮影された写真を見せていただきました。小さくてとてもかわいらしいです。

  • imageヤマネの巣箱の中
  • image巣箱の中のヤマネ

樹木の植生調査

樹木の植生調査では、ヤマネやモモンガなどの巣箱を利用する動物たちが、どのような環境を好んで生活しているのかを調べます。こうした動物が生息する環境の中でも、特に小さな範囲の生息場所は「マイクロハビタット」と呼ばれ、植物は動物たちにとってインフラの役割を果たしています。今回の調査では、巣箱周辺10m以内にある樹木を対象に、樹種・樹高・幹の太さ・分布を記録しました。足場の悪い中での作業でしたが、レンジャーのみなさんから教えていただきながら、スムーズに測定することができました。

imageレンジャーのみなさんと連携して調査を進めます。

ヤマネ・モモンガの生態調査に参加して

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大井沢には今回初めて伺いましたが、自然がとても豊かで、様々な生き物が生息していることを知りました。調査の日には、大井沢自然博物館にもご案内いただきました。この施設は大井沢小中学校の跡地に建てられたものです。館内には当時の子どもたちが作ったたくさんの標本が展示されており、以前は環境教育が行われていたことを教えていただきました。貴重な自然環境があるからこそ子どもたちは多くの生き物に触れ、たくさん学ぶことができたようです。
今回お話を伺った団体代表の中村さんは、かつての大井沢のように地元の人々が地元の自然を後世に伝え、見聞きした情報を蓄積できるコミュニティをつくりたいという想いから、やまがたヤマネ研究会を設立しました。中村さんの想いに応えるように、参加したレンジャーの子どもたちは、山形県の自然や生き物についてとても楽しそうに話してくれました。やまがたヤマネ研究会には、動物や鳥に興味を持つ子どもたちが多く、将来は動物保護をしたいという夢を抱いている子もいました。
自然や生き物について体験を通じて学び、いずれは野生動物を守る人材を育てていくーそんな貴重な活動をされているのだと、改めて実感しました。

ニホンモモンガの生態はこちら

【日本の自然と生き物】日本固有種のニホンモモンガの生態

プロフィール

やまがたヤマネ研究会 代表 中村夢奈さん

埼玉県生まれ。大学院在籍中に、やまがたヤマネ研究会を設立しました。同会では、野生動物の生態に関する基礎調査研究を行い、他の研究機関や団体、個人と連携して、研究論文の執筆や学会発表などを行っています。また、野生動物に関するイベントや展示会、依頼講演も実施し、環境教育活動にも積極的に取り組んでいます。
設立から18年目を迎え、現在42名のレンジャーが所属しています。これからも活動を通じて、一人でも多くの方に山形県の野生動物や自然について知ってもらうことで、野生動物保護のきっかけとなる場を提供していきます。

環境省希少野生動植物種保存推進員(2015~)
山形県レッドリスト等掲載種選定委員会委員(2014~)
山形県内複数市町村の文化財保護審議委員(2017~)など、その他委員・役職など兼務。

imageお話を伺った「やまがたヤマネ研究会」 
代表 中村さん(左)と副代表 小城さん(右)