宝グループについて
ABOUT
宝グループのあゆみ
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- 第4章
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企業成長基盤の構築
1993~2021(平成5~令和3)
グループ経営体制の確立と
バイオ・海外事業の拡大
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改革推進とグループ経営への移行
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1993
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第9代社長に大宮久が就任、改革を加速
1993(平成5)年、第9代社長に大宮久(写真)が就任しました。この年、21世紀に向けた長期経営構想「TI-21」(Takara Innovation-21)を策定。長期的な安定利益を追求し、会社の繁栄、社員の幸福、自然や社会との調和を同時に達成し、21世紀型優良企業をめざす方針を明らかにしました。
1993
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高付加価値商品で市場競争に挑む
消費者嗜好の多様化が進むなか、付加価値の高い商品の開発も積極的に推進しました。清酒分野では焙炒製法による超淡麗辛口の新しい酒質を実現。また「松竹梅」の新たな顔に渡哲也(写真上)を迎え、慶祝贈答市場で確固たる地位を築きました。1993(平成5)年には、本格米焼酎「よかいち」(写真左)の発売で乙類焼酎市場へ本格参入。さらに、タカラcan チューハイ「デラックス」シリーズにより、スウィート系のチューハイ市場の創造に成功。特に1994(平成6)年に発売した初の果肉入りタカラcan チューハイ「デラックス」〈すりおろしりんご〉(写真右)は、その品質に加え、女優宮沢りえを起用したCMも話題を呼び、ヒット商品になりました。
2000
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長期経営構想と企業理念の改定
少子化による飲酒人口の減少、酒類小売業免許の規制緩和(距離基準や人口基準の廃止)など、事業の根幹に関わる状況変化を受け、2000(平成12)年、長期経営構想「TE-100」(Takara Evolution-100)を策定。経営目標に「企業価値の向上」を掲げ、「お客様の視点」「人間尊重の視点」「自然・社会との調和の視点」に立った経営の実践をめざしました。翌2001(平成13)年には企業理念を改定。「自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。」と内外に宣言しました。(写真は長期経営構想「TE-100」パンフレット)
2002
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マザービジネスとバイオビジネスを分社
2002(平成14)年4月1日、寳酒造(株)は宝ホールディングス(株)へと社名変更し、持株会社に移行。事業子会社として、酒類・食品・酒精のマザービジネスを担う宝酒造(株)、バイオビジネスを担うタカラバイオ(株)が発足しました。
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バイオ事業の拡大
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1993
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PCR 法でビジネスチャンスを掴む
1990年代はバイオビジネスが大きく花開いた時代。1993(平成5)年、バイオ事業部門は全世界における広範囲のPCR 関連特許ライセンスを取得し、PCR 製品の自社製造に乗り出しました。1996(平成8)年にはLA-PCR法に関する特許権も取得。LA-PCRの新技術は、国内外のほとんどのバイオ研究試薬メーカーに特許の実施許諾を供与するほど市場で好評を博しました。(写真はLA-PCR技術に基づく製品「TaKaRa EX Taq™」)
1993
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大連工場新設、海外市場へ
遺伝子工学研究事業をコアビジネスへと成長させたバイオ事業部門は、1990(平成2)年、滋賀県草津市にバイオプロダクツ開発センターを新設。そして市場競争の本格化を見据え、1993(平成5)年、中国大連市に宝生物工程(大連)有限公司(写真)を設立し、日本からの製造移管を進め、高品質で安定した製品づくりを実現しました。さらに、研究用試薬の販売を担うタカラバイオメディカルヨーロッパ社(現タカラバイオヨーロッパ社)、宝韓バイオメディカル社(現タカラコリアバイオメディカル社)を設立。海外販売網の拡充にも注力しました。
1996
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日本古来の食材の機能性に着目
人々の健康志向が高まるなか、食材の機能性に着目した研究開発が進みます。1996(平成8)年、ガゴメコンブに含まれるU−フコイダンが、がん細胞の自殺(アポトーシス)を誘導することを発見。1998(平成10)年には寒天由来のアガロオリゴ糖が、がん抑制作用を持つことを発見しました。また、明日葉由来のカルコンが骨粗しょう症や糖尿病由来の末梢神経障害に効果が期待されることを発見し、鹿児島県屋久島などに生産拠点を設置。一方、キノコ栽培では日本で初めてホンシメジの大量生産に成功。その後、瑞穂農林(株)で大規模生産を開始したホンシメジは、2015(平成27)年に京都府から「京のブランド産品」に認定されました。(写真上は、ガゴメコンブ、下は大黒本しめじ)
1997
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レトロネクチン®法で遺伝子医療分野へ
1994(平成6)年、アメリカ・インディアナ大学から「フィブロネクチンには遺伝子導入効率を上げる働きがあるようだ」との情報を得て、翌年、同大学との共同研究を開始。フィブロネクチンが造血幹細胞への遺伝子導入効率を飛躍的に向上させることを発見しました。そして1997(平成9)年、遺伝子治療研究用試薬「レトロネクチン®」(写真)を全世界で発売しました。その後フランスの小児病院で先天性免疫不全症の遺伝子治療に用いられ、世界中の注目を集めました。
2000
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ドラゴン・ジェノミクスの設立
国内外でゲノム解析が進むなか、2000(平成12)年にはアジア最大規模の民間ゲノム解析センター、ドラゴン・ジェノミクス(株)(現タカラバイオ・バイオメディカルセンター)を三重県四日市市に設立し、解析受託サービスを開始。その後もDNA 合成や抗体作製などの基礎研究分野にとどまらず、日本で最多件数の遺伝子検査を行うまでになりました。(写真は設立当時のドラゴン・ジェノミクス社)
2004
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タカラバイオ上場を果たす
市場環境の著しい変化を踏まえ、分社化したタカラバイオは「遺伝子工学研究」「遺伝子医療」「医食品バイオ」の3つの事業分野に照準を合わせ、経営資源を集中する方針を明らかにします。2004(平成16)年には東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たし、事業会社としての自立をより鮮明にしました。
2004
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日米欧中の4拠点体制を構築
グローバル競争が熾烈化するなか、2004(平成16)年、宝日医生物技術(北京)有限公司を設立。翌年、米国クロンテック社(現タカラバイオUSA社)をパートナーに迎え、遺伝子研究分野を強化しました。2011(平成23)年にはタカラバイオDSSインド社を設立し、インド市場への足掛かりを築き、さらに2014(平成26)年、スウェーデンの旧セラーティス社を迎えてタカラバイオヨーロッパAB 社を設立するなど、日米欧中の4研究開発拠点体制を構築しました。(写真上はクロンテック・ブランド製品、下はセラーティス・ブランド製品)
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差異化商品の開発と育成
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2001
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「白壁蔵」と「天」で清酒二極化市場に対応
1990年代以降、清酒市場は吟醸酒などの特定名称酒と紙パックを中心とする経済酒に大きく二極化。そこで2001(平成13)年、灘工場をリニューアルし、「本当に旨い酒」を製造できる高品質な酒づくりの拠点「松竹梅白壁蔵」(写真上)が完成。伝統の生酛(きもと)造りにこだわった松竹梅「白壁蔵」〈生酛純米〉など高品質かつ個性豊かな商品を次々と生み出しました。一方、ソフトパック市場においても2003(平成15)年、二段酵母仕込の松竹梅「天」(写真下左)を発売。多くのユーザーの支持を得て、新境地を開きました。また、2011(平成23)年には松竹梅「天」エコパウチ(写真下右)を発売し、新しい価値を提案しました。
2001
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全量芋焼酎「一刻者」発売
「よかいち」に続く本格焼酎として、2001(平成13)年、芋本来の味わいにこだわった全量芋焼酎が完成。頑固者の意味を持つ「一刻者」(いっこもん)(写真)と命名しました。そして2007(平成19)年、「極上〈宝焼酎〉」を発売。2008(平成20)年には本格麦焼酎「知心剣」(しらしんけん)、さらに2013(平成25)年、原料芋に赤芋を使用した全量芋焼酎「一刻者」〈赤〉を発売するなど、焼酎市場の活性化を積極的に進めました。
2006
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タカラ「焼酎ハイボール」発売
2006(平成18)年、元祖チューハイの味わいを追求したタカラ「焼酎ハイボール」(写真)を発売。地道な営業活動で成功事例を生み出していき、やがて"点"が"線"となり、"面"に広がり始めた2009(平成21)年、「大衆酒場のあのうまさ」をキャッチフレーズに、辛口の味わいを訴求すると本格的にブレークし、現在も成長を続けています。
2006
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飲料事業撤収、健康食品事業再編へ
宝酒造の飲料・機能性食品事業と、タカラバイオの医食品バイオ事業のシナジーを最大化するため、2006(平成18)年、宝ホールディングスの100%子会社として宝ヘルスケア(株)を設立。タカラバイオが開発してきた健康食品の販売を引き継ぎ、タカラバイオは研究・製品開発に特化。同時に、宝酒造は飲料事業から撤収し、同事業で培ってきたマーケティング力や販売ノウハウを新会社で活用することにより、宝グループを挙げて健康食品事業の成長をめざしました。(写真は宝ヘルスケアのコールセンター)
2006
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中食市場や外食市場の開拓をめざす
2006(平成18)年、拡大する中食市場や外食市場の開拓をめざし、宝酒造は調味料加工業務用事業本部を設置。その技術サポート拠点として東西にカスタマーセンターを開設しました。さらに2011(平成23)年、B to Bビジネスを強化し、将来の事業の柱として拡大を図るため、「調味料・酒精事業本部」を新設。多様化する調味料へのニーズに応えるべく、だし調味料や機能性調味料など、差異化商品の開発・育成に取り組んでいます。(写真は東日本調味料カスタマーセンター)
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成長基盤の構築
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1995
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海外酒類事業の拡大と海外日本食材卸事業への本格参入
経済のグローバル化が加速し続けるなか、宝酒造製品の輸出および現地での製造・販売を行う「海外酒類事業」と、日本食材などを現地の日本食レストランや小売店などに販売する「海外日本食材卸事業」を二本柱に事業を展開。海外酒類事業では、1995(平成7)年、米国宝酒造に続いて北京寛宝(かんぽう)食品有限公司(現宝酒造食品有限公司)(写真上)を設立。中国での清酒・みりん・焼酎などの製造と販売を開始。海外日本食材卸事業では、2010(平成22)年、フランス最大規模の日本食材卸会社であるフーデックス社(写真下)をパートナーに迎え、「和食」に注目が集まるヨーロッパ市場へ本格参入しました。
2011
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長期経営ビジョン「宝グループ・ビジョン2020」策定
2011(平成23)年、2020年までの長期経営ビジョン「宝グループ・ビジョン2020」を策定、「国内外の強みを活かせる市場で事業を伸ばし、環境変化に強いバランスの取れた事業構造を確立する」との経営目標を定めました。そしてグループ経営体制の確立、差異化商品の開発・育成、バイオ事業や海外事業の拡大など、宝グループの進むべき道を明確にしました。
2011
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スパークリング清酒「澪」誕生
2011(平成23)年、清酒市場にスパークリング清酒という新しいカテゴリーを拓いた松竹梅白壁蔵「澪」(写真左)が誕生しました。開発がスタートしたのは2000年代半ば。日本酒に馴染みの薄いライトユーザーにも受け入れてもらえる商品づくりをテーマに、独自の製造技術を確立。ほのかな甘みとほどよい酸味を併せ持つ極上のスパークリング清酒を生み出しました。2015(平成27)年には、松竹梅白壁蔵「澪」〈DRY〉(写真右)もラインアップに加えました。
2012
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第10代社長に柿本敏男が就任
2012(平成24)年6月、大宮久社長は会長に就き、第10代社長に柿本敏男(写真)が就任。高付加価値商品の開発など、これまで進められてきた事業戦略を受け継ぎ、長期的な視野に立って、さらに発展させる方針を鮮明にしました。そして、「澪」や「天」で新たなユーザーを開拓した清酒。甲類焼酎No.1ブランドの「宝焼酎」、「一刻者」を中核とした本格焼酎。さらに「タカラ本みりん」をはじめとする和の調味料。これら数々の差異化された商品と地道な商品育成によって、宝酒造は「和酒No.1企業」の地位をめざして着実な歩みを進めています。
2013
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日本の食文化を世界へ
2013(平成25)年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的な関心が高まりを見せているなか、宝酒造は海外日本食材卸事業を拡大。同年にイギリスのタザキフーズ社、翌2014(平成26)年にスペインのコミンポート・ディストリビューション社をパートナーに迎え入れ、ヨーロッパ最大規模の日本食材卸グループを形成しました。さらに2012(平成24)年、長年の協力関係にある米国ミューチャルトレーディング社の第三者割当増資を引き受け、パートナーシップを強化しました。(写真はタザキフーズ社・「Yutaka」ブランドの日本食材)
2014
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革新的バイオ技術で人々の健康に貢献
京都大学iPS細胞研究所・山中伸弥教授のノーベル賞受賞により、再生医療への関心がにわかに高まりました。こうした潮流を背景にタカラバイオは、「遺伝子工学研究事業」を「バイオ産業支援事業」と改称し、一段と強化。再生医療関連製品やバイオ医薬品の研究開発から製造までの支援を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業の拡大に着手。その中核施設が、2014(平成26)年に滋賀県草津市に新設した「遺伝子・細胞プロセッシングセンター」(写真)です。さらに2015(平成27)年、分散していた国内開発拠点も草津市に集約を開始し、受託サービスのワンストップ化を実現しました。一方、遺伝子医療分野では、がんに代表される難病の克服を目標に、腫瘍溶解性ウイルスHF10(悪性黒色腫(こくしょくしゅ))、siTCR遺伝子治療(固形がん)、CAR遺伝子治療(造血器腫瘍)などの臨床開発を進め、早期の商業化をめざしています。
2016
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タカラバイオ東証1部に市場変更
東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしていたタカラバイオは、2016(平成28)年3月、東証第1部に市場変更。「遺伝子治療などの革新的なバイオ技術の開発を通じて、人々の健康に貢献する」という企業理念のもと、一層の事業拡大と企業価値の向上を図り、さらなる成長をめざしています。(写真はタカラバイオ東証1部上場記念の打鐘)
2016
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日本食材卸の世界ネットワークを構築
世界規模での日本食材卸ネットワークの構築を進める宝酒造は、2016(平成28)年ポルトガルのケタフーズ社をパートナーに迎え入れるとともに、米国ミューチャルトレーディング社とはパートナーシップを一層強化して連結対象会社として改めてグループに迎え入れました。(写真はミューチャルトレーディング社社屋外観)
2017
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宝酒造インターナショナル設立
海外での事業拡大を急速に進める宝酒造は、2017(平成29)年に豪州のニッポンフード社をパートナーに迎え入れ、さらに国内事業とは事業環境の異なる海外事業を分社化し、同年7月3日宝酒造インターナショナル(株)を設立。海外事業の成長をさらに加速させるため、より迅速で的確な意思決定とグローバル拠点を含めた事業基盤の整備・強化を図っています。
2018
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第11代社長に木村睦が就任
2018(平成30)年6月、第11代社長に木村睦(写真)が就任。国内の酒類・調味料事業、海外事業、バイオ事業の3つを柱に、「環境変化に強いバランスのとれた事業構造の確立」に向け、グループ体制の強化を図っています。
2018
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清酒国内出荷No.1へ
2018(平成30)年、松竹梅の慶祝路線に加え、業務用・家庭用と総合的に展開を進め、宝酒造は清酒国内出荷No.1に躍進しました。
2020
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長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を
策定2020(令和2)年、宝グループ創立100周年となる2025年(2026年3月期)に向けた、6年間の長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を策定しました。宝グループのVision(ありたい姿)として「笑顔で繋がる豊かな暮らしを~Smiles in Life~」を掲げ、その実現に向けて、技術力、商品力、ブランド力をさらに向上させ、「和酒・日本食市場」「ライフサイエンス産業」における多様な価値を提供することで、宝グループの国内外での存在感を高めながら、持続的な成長と飛躍を実現するとの経営方針を定めました。さらに、「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を策定し、社会・環境課題に対する宝グループの考え方を示しました。
2021
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新型コロナウイルス感染症への取り組み
2019(令和元)年末に始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界的パンデミックをもたらした。この危機的な状況のなか、当社グループは総力を結集して事業活動に取り組みました。なかでもタカラバイオでは、新型コロナウイルスを唾液からダイレクトに検出できるPCR検査キットを開発し、安定的な製造・供給体制を整え、また新型コロナウイルスに対する予防用ワクチンの開発に協力するなど社会的課題の解決にも努めました。(写真は新型コロナウイルスPCR検出キット(体外診断用医薬品))
2021
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グローバル製造体制の再構築
2020(令和2)年には、再生・細胞医療・遺伝子治療品のCDMO事業拠点の一つである「遺伝子・細胞プロセッシングセンター2号棟」が完成し操業を開始しました。
さらに2021(令和3)年には、Takara Bio USA, Inc.(写真右)をシリコンバレーの中心都市サンノゼに移転、設備増強を行い、あらたに試薬製造を開始するなど、日本、米国、中国、欧州における製造体制を分散・再編し、グループ全体での最適化、効率化を図っています。
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