1985年設立 タカラ・ハーモニストファンド助成先の自然保護活動

「ずっと続く、自然への恩返し」

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2023.04.14

里山環境の豊かさを次世代に伝えていく

NPO法人宮代水と緑のネットワーク

「里山の自然はこころのふるさと」のキャッチコピーを掲げ、「水」と「緑」をキーワードとして活動しているのが、NPO法人宮代水と緑のネットワークです。
ホタル復活プロジェクトや夜間の昆虫観察会、お米作り体験など多岐にわたる活動をネットワークのように連携して行っている団体です。
ここでは、そんな活動の一部を紹介します。
※本記事中に使用している画像は、2019年以前のものも含みます。

主な活動内容(NPO法人宮代水と緑のネットワーク)

①農業体験事業 田んぼの学校の運営
②自然保護事業 ホタルの里親の会、宮代野草クラブ、蝶の繁殖支援
③環境学習事業 観察会(スーパーナイトハイク・ホッツケの生きもの調査)、会報「コウホネ」の発行
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タカラ・ハーモニストファンドが、NPO法人宮代水と緑のネットワークの「里山の自然観察と体験」に助成したのは、2018年のこと。
コロナとの共生が見えてきた今、コロナ禍でどのように活動をしてきたのか、今後の活動の展望などお話を伺いたいと思いました。
そこで、オンラインで代表の茂木さんと副代表の若林さんからお話を伺いました。

環境にやさしいお米作りを家族で体験できる「田んぼの学校」

江戸時代に開墾された「ホッツケ田んぼ」の一部を借用し、「田んぼの学校」を行っています。
210㎡の田んぼに一般募集で募った親子が集まり、"毎日食べるお米がどうやってできるのか"実際に体験しながら学びます。

image最初は田んぼに入るのをためらっていた子も、すっかり田んぼのとりこに。
image稲わらや落ち葉を肥料に育てた「無農薬米」を丁寧に天日干し。
imageできたお米は「ほっつけホタル米」というブランド名で会員に販売。

普段中々見ることのできない夜の昆虫を観察できる「スーパーナイトハイク」

こどもたちに大人気の”カブトムシ”や”セミ”など、夜に元気になる昆虫の生態を観察できる大人気イベント。
多い時にはなんと150名以上が参加し、コロナ禍では人数制限をかけたほど。
親御さんの「子供と一緒に自然と触れ合いたい」という熱い想いもこのイベントが人気な理由のひとつだそう。

imageバナナトラップやライトトラップを事前にしかけてくれており、色々な昆虫を観察できる。

たくさんのカブトムシや光に集まる虫たちを観察し、いよいよクライマックス。
セミの幼虫が羽化する様子をみんなで観察します。
数年土の中で過ごしたセミが、たった数週間地上で過ごす最初の準備である「羽化」。
外敵から身を守るために夜こっそりと羽化する神秘的な様子を静かに見守ります。

imageあらかじめリサーチしておいた木でたくさんのセミが羽化する様子をみんなで観察。
さっきまで元気だった子供たちも、神秘的な様子に思わず固唾をのんで見守ります。

1000人を超える大人気イベントも実施している「ホタルの里親の会」

ホッツケ田んぼ周辺にホタルをよみがえらせたいという想いから、会員自ら幼虫や成虫を育てて放流している。
地元の方以外も多数参加する“ホタルの観賞会”は多い時でなんと1000人以上。
町役場や他の団体とも協力しながら運営している。

image会員の方が育てた幼虫をみんなで川に放流してホタルの定着を目指します。 image今ではあまり見ることができなくなってしまったホタルを一目見ようと関東近県から大勢の人が来ます。

注目 ザリガニ釣り大会

何度ホタルの幼虫を放流しても中々定着しないことの原因は、“ザリガニに幼虫が食べられてしまっているから”ではないかと考え、ザリガニを駆除するために「ザリガニ釣り大会」を企画!
子どもたちが楽しみながら、ホタルの幼虫の天敵でもあるザリガニが駆除できる一石二鳥のイベントです。

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取材を終えて

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幅広い活動をやっている印象を受け取材依頼をさせていただきましたが、実際に取材してみると、活動の3本柱の軸をしっかりと保ちながら「里山の環境を保全したい」という強い想いのもと活発に活動していらっしゃる様子がわかりました。
活動を引き継いでくれる方が中々いないという全国のNPOが直面している問題もありますが、子どもたちに自然と触れ合う貴重な機会を提供してくれる「宮代水と緑のネットワーク」の活動はまさに貴重。コロナ禍の収まりに伴って次世代に提供されるきっかけがより一層増えていくことを祈っています。

プロフィール

NPO法人宮代水と緑のネットワーク

1998年10月に始まった宮代町環境基本計画策定委員会の有志が中心となり、活動を始めていた「宮代町環境・生態系を考える会」と「宮代のホタルを育てる会」が統合して、2001年4月15日に「宮代水と緑のネットワーク」が発足しました。
2004年1月26日に特定非営利活動法人となり、2020年第22回日本水大賞の「農林水産大臣賞」を受賞しました。現在、稲作体験をする「田んぼの学校」、その周辺にホタルを自生される活動、町内に自生していた野草を守り育てる活動とそれぞれの観察会を行い、「里山の自然は心のふるさと」を掲げ、里山の自然環境の保全活動を続けています。

imageお話を伺った
「NPO法人宮代水と緑のネットワーク」の
茂木代表(左)と若林副代表(右)