サステナビリティ

SUSTAINABILITY

環境

考え方・方針

宝グループ環境方針

宝グループは、地球環境の保全と事業活動の調和を経営の重要課題のひとつとし、環境マネジメントシステムを構築して継続的な改善に取り組み、持続可能な社会づくりに貢献します。

  • 1.環境に関連する法令および組織が同意するその他の要求事項を順守します。
  • 2.宝グループが行う事業活動の中、以下の項目について重点的に取り組みます。

    ①環境汚染の予防に努めます。

    ②省エネ・省資源を推進し、持続可能な資源の利用に努めます。

    ③温室効果ガスの排出量を削減し、気候変動の緩和に努めます。

    ④生物多様性や生態系の保護・保全に関わる活動を推進、支援します。

    ⑤容器包装の3R※への対応など、環境に配慮した商品開発に努めます。

  • 3.環境活動への取り組みや環境パフォーマンス情報を積極的に開示し、社会とのコミュニケーションに努めます。
  • 4.本環境方針は、教育啓発活動を通じて宝グループの全構成員に周知するとともに、社員の社会貢献活動への参加を積極的に支援します。

  • ※3R:Reduce,Reuse,Recycle の略

体制

宝グループ環境マネジメントシステム

ISO14001に基づく環境マネジメント体制を確立

宝酒造の全工場、本社、および宝ホールディングス、宝酒造インターナショナルの本社で、ISO14001の認証を取得しています。
ISO環境本部を中心に、経営と直結した目標に向かって活動しています。

宝グループ環境マネジメント体制

目標

取り組みテーマ 具体的施策 目標
気候変動問題への対応 気候変動への対応

[2030年度]

【宝酒造・宝酒造インターナショナルグループ】

・生産拠点におけるCO2排出量を2018年度比で46%削減する。

【タカラバイオグループ】

・CO2排出原単位(売上高当たりのCO2排出量)を2018年度比で50%削減する。

【宝酒造(物流部門)】

・宝酒造製品の輸送におけるCO2排出原単位(出荷数量当たりのCO2排出量)を2018年度比で10%削減する。

[2050年度]

【グループ全体】

・宝グループ連結でCO2排出量を実質ゼロにする。

適正な水使用 地域の特性に配慮した水の使用

【宝酒造】

・2025年度までに、宝酒造の用水原単位(販売数量当たりの用水使用量)を2017年度比で15%削減する。

・水源保護、廃水保全の取り組みを継続する。

廃棄物排出の抑制 工場廃棄物の削減および再資源化の推進

【宝酒造】

宝酒造の製造工程における廃棄物の再利用率98%以上を継続する。

フードロス削減への取り組み

【宝酒造】

・希少な国産果実をはじめとした原料の有効利用率を向上させる。

・自社商品やそれを利用した加工食品のロングライフ化を進める。

環境に配慮した製品パッケージ、梱包への対応 環境に配慮した製品の開発

【宝酒造】

・量り売り製品の販売を継続する。

・3Rに配慮した持続可能な容器包装の導入を進め、2050年度までに100%を目指す。

・紙パック製品の森林認証紙化を進め、2030年度までに100%を目指す。

・紙、樹脂ラベルへのバイオマスインクの使用率を2030年度までに100%を目指す。

【タカラバイオグループ】

・紙パッケージの森林認証紙化を進め、2025年度までに100%を目指す。

・片面アルミパウチのアルミレスパッケージの採用率を2025年度までに100%を目指す。

・紙パッケージへのベジタブルオイルインクの使用率を2025年度までに100%を目指す。

リサイクル啓発冊子の無償配布

【宝酒造】

希望者への無償提供を継続する。

生態系・生物多様性の保全 生態系や生物多様性を守る活動や研究への助成

【宝HLD】

・タカラハーモニストファンドによる助成を継続する。

【宝HLD・宝酒造】

・各事業場における地域貢献活動を継続する。

関連するSDGs

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取り組み

TCFDフレームワークに基づく開示

宝グループは、地球環境の保全と事業活動の調和を経営の重要課題のひとつと位置づけ、積極的に取り組みを進めています。
当社グループでは、気候変動が事業の持続性に影響を与える重要な問題であると認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに沿って検討と対応を進めるとともに、関連する情報の開示を行いステークホルダーの皆様と対話を続けていきます。

気候変動への対応

CO2排出量削減ロードマップの策定

宝グループでは、サステナビリティ・ビジョンにおける目標として、

達成年度

対象範囲

削減目標

2030年度 宝酒造

生産拠点におけるCO2排出量を46%削減(2018年度比)

宝酒造インターナショナルグループ

生産拠点におけるCO2排出量を46%削減(2018年度比)

タカラバイオグループ

CO2排出量単位(売上高当たりのCO2排出量)を50%削減(2018年度比)

2050年度 グループ全体

CO2排出量を実質ゼロ


を掲げ、CO2排出量削減に取り組んでいます。

2022年6月にはCO2排出量削減ロードマップを策定し、排出量削減施策を計画しました。具体的には、ガスボイラーの活用や、太陽光パネルの採用、CO2フリー電力の使用などです。なお、このロードマップは環境変化への対応や技術開発など、エネルギー使用の削減や抑制、効率改善のために常に最適な取り組みを行うことを目的に随時更新をしてまいります。

ロードマップ



また、2024年1月に宝ホールディングス・宝酒造の温室効果ガス(GHG)排出量の算定(2022年度実績)に対して、国際的な基準であるISO14064-3に準拠した第三者検証を一般社団法人日本能率協会から受けました。今後はGHG排出量の把握とともに認証取得の取組を維持・拡大していきます。
生産工程におけるCO2排出量削減

宝グループの2022年度の生産工程におけるCO2総排出量は104.3千t-CO2となり、前期比では7.5%の減少となりました。これは、グループ全体のCO2排出量の8割以上を占める宝酒造の生産工程で、高効率ボイラーへの更新、重油ボイラーのガス化、殺菌温水の廃熱再利用など省エネ設備の導入や熱回収、設備運用の適正化に取り組んだ効果によりCO2排出量が84.9千t-CO2となり、前期比9.3%の減少となったためです。
このほか、2022年度は宝酒造インターナショナルグループではトマーチン社のバイオマスボイラーの復旧等により24.5%減少、タカラバイオグループでは遺伝子・細胞プロセッシングセンター2号棟の本格稼働が影響し9.7%増加となりました。

生産工程でのCO2排出量削減の取り組み事例
  • 高効率ガスボイラー、重油ボイラーのガス化等の省エネ設備の導入
  • 殺菌温水の廃熱再利用
  • コージェネレーション(熱電供給)システムの利用促進

宝グループ生産工程の
CO2排出量(総排出量)の推移

宝グループ生産工程のCO2排出量(総排出量)の推移

<集計範囲>
宝酒造、Takara Sake USA Inc. 宝酒造食品有限公司、The Tomatin Distillery Co.Ltd.、タカラバイオ、宝生物工程(大連)有限公司、DSS Takara Bio Pvt. Ltd.、Takara Bio USA,Inc.
※2019年2月まで瑞穂農林、きのこセンター金武含む

物流工程でのCO2排出量削減

宝酒造では、物流の効率化や省エネ運転、ヒートポンプの導入、モーダルシフトの推進、トラック輸送における製品積載率の向上などにより、輸送時のCO2排出量の削減に取り組んでいます。2022年度の物流工程におけるCO2排出量は14.4千t-CO2となり、トラック輸送の積載率向上などの効果により、前期比7.7%の削減となりました。

物流工程でのCO2排出量削減の取り組み事例
  • フェリー、鉄道などへのモーダルシフト
  • 消費地生産による東西拠点間の転送の削減
  • 物流子会社による高積載トラックの開発

宝酒造の物流工程の
CO2排出量(総排出量)の推移

宝酒造の物流工程のCO2排出量(総排出量)の推移
宝ホールディングス歴史記念館CO2フリーエネルギー化

2023年4月1日より、宝ホールディングス歴史記念館は脱炭素化実現のため、使用電力を再生可能エネルギー由来の電力に変更しました。

歴史記念館の設備は、オール電化設定のため、再生可能エネルギー由来の電力を使用することで使用しているエネルギーがCO2フリーとなります。

記念館

持続可能な水資源の利用

生産工程での用水使用量の削減

宝グループでは、宝グループ環境方針に「省エネ・省資源を推進し、持続可能な資源の利用に努めます。」とかかげる通り、限りある水資源を持続可能な状態で利用し続けていくために、水資源使用量を削減することの重要性を認識し、使用量の削減および適正化を推進していきます。
宝グループの2022年度の生産工程における用水の総使用量は649万m³となり、2022年度から新たに発生した製品製造業務により用水使用量が増加したため、前期比で0.3%の増加となりました。

宝酒造の取水・排水時の水量・水質の法令違反の有無

過去3年間に取水、排水に関わる法令違反はありません。

宝酒造の水ストレス地域での事業活動

一部工場に渇水時の取水制限の可能性があります。
一部工場で地下水の揚水許可容量の定めがあります。

用水使用量削減の取り組み事例
  • 製造設備の洗浄方法の改善による洗浄水削減
  • 商品製造時容器洗浄水や冷却水の再利用

宝グループ生産工程での用水使用量の推移

宝グループ生産工程での用水使用量の推移

<集計範囲>
宝酒造、Takara Sake USA Inc. 宝酒造食品有限公司、The Tomatin Distillery Co.Ltd.、タカラバイオ、宝生物工程(大連)有限公司、DSS Takara Bio Pvt. Ltd.、 Takara Bio USA,Inc.
※2019年2月まで瑞穂農林、きのこセンター金武含む

廃棄物排出の抑制

工場廃棄物の削減および再資源化によるサーキュラーエコノミーの推進

宝酒造の工場では焼酎粕などの副産物や排水処理汚泥、原料や容器の運搬資材などの廃棄物が発生します。そのため、焼酎粕などの食品系副産物を飼料化・肥料化するなど有効利用を図ることで、再利用率99%以上を維持するなど、工場廃棄物排出量の削減に取り組んでいます。
2022年度の宝酒造の廃棄物排出量は4,662t、その再利用率は99.0%となり前期の水準を維持しました。

廃棄物削減の取り組み事例
  • 焼酎粕飼料化設備の導入
  • 排水処理汚泥の減容化
  • 堆肥メーカーとの共同事業による使用済み活性炭の有機肥料化(再資源化)

宝酒造の廃棄物排出量の推移と再利用率

宝酒造の廃棄物排出量の推移と再利用率
飼料化設備

2005年9月、黒壁蔵に「焼酎粕飼料化設備」を導入しました。従来、焼酎かすはセメント原料として再利用していましたが、この設備を導入することで、芋や麦の焼酎かすに含まれる有効成分を分離・濃縮・乾燥して配合飼料原料として再利用するほか、微量の残留アルコールを回収し、施設内のボイラー燃料として活用するなど有機廃棄物の再資源化を実現しています。近年、本格焼酎の需要拡大に比例し、多くの焼酎かすが発生しています。黒壁蔵ではこれらを家畜飼料の原料に再生することで「ゼロエミッション化」を推進しています。

飼料化設備

酒粕・みりん粕のアップサイクル促進

宝酒造では、グループ会社のタカラ物産を通じて、清酒およびみりんの製造工程において発生する副産物である「酒粕」「みりん粕」のほぼ全量を廃棄せず利用しています。

具体的には、家庭用としての販売に加え、漬物や甘酒の原料、飼料などです。今後も持続可能な社会の実現のため、サーキュラーエコノミーを推進してまいります。

酒粕と漬物

フードロス削減への取り組み

宝酒造には、希少な国産果実を原料に使った商品があります。
果実には果汁以外にもおいしく使える部分がありますが、その多くは果汁を搾った後に使われずに捨てられてしまいます。果皮などの未利用部位からおいしさを取り出す技術を開発し、国産果実の利用率を向上させることで、フードロス削減に取り組んでいます。

国産果実をムダなく使って、すっきりとした果実感で甘くない、タカラcanチューハイ「すみか」を2021年9月に発売しました。

タカラcanチューハイ「すみか」

タカラcanチューハイ「すみか」

環境に配慮した製品パッケージ、梱包への対応

日本では、一般家庭から出るごみの約6割(容積比)が容器包装で占められています。宝酒造ではこの問題に対処するため、リデュース(減量化)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)の3Rに配慮した資材調達や商品開発を進めています。また、宝酒造では3Rにリフューズを加えた独自の取り組み(4R)として、焼酎のはかり売りを展開しています。自社工場で専用タンクに充填した焼酎を販売店に直送し、お客様は家庭にあるペットボトルなどの空容器を販売店に持参して、専用タンクから必要な分だけを容器に詰めて購入します。このように、新たな容器を購入せず必要な分だけ中身を買うため、資源の節約とごみの削減につながります。1998年の開始以来2023年3月までに、2.7ℓペットボトル換算で約1018万本を節約することができ、この量のペットボトルを製造するのに排出されるCO2量は約2563 t-CO2に上ります。
また、プラスチックをとりまく海洋汚染などの様々な環境問題に対応するため、プラスチック資源循環促進法の遵守をはじめとし、国内生産拠点においてプラスチック産業廃棄物およびプラスチック混合廃棄物の年1%削減を目標としています。

環境に配慮した製品の開発

宝酒造では、「環境に配慮した商品開発のための指針」や「環境配慮型商品開発に関する手順書」を作成し、資材調達や商品開発においてISO14001の環境目標を設けて、容器の3R(リデュース、リユース、リサイクル)に配慮した商品開発を継続的に進めています。紙パック製品や梱包用のダンボールでは、森林認証紙の採用やバイオマスインクの使用を進めています。また、壜・缶製品では容器の軽量化やラベル・シール等の廃止にも取り組んでいます。
タカラバイオでは、片面アルミパウチパッケージの試薬についてはアルミレス化を進めています。また、紙パッケージについて森林認証紙やベジタブルオイルインクの使用を進めています。

メタンガスを抑制した酒米で造った松竹梅白壁蔵「然土」

宝酒造は2023年から、下記施策により原料である酒米(山田錦)栽培時のメタンガス排出量を抑制した松竹梅白壁蔵「然土」を発売しています。

●田んぼに水を張らない「中干し」期間を慣行より延長

酒米を栽培する際には、田んぼに水を張るため、土壌中の酸素が少なくなりメタン生成菌が活性化します。それによりメタンが生成されますが、田んぼの水を抜く「中干し」期間を慣行より長くとることで、メタン生成菌の活性を抑え、試験区によってはメタンガス排出を70%抑制できました。

● 稲わら腐熟(肥料化)促進の際に、一般的な分解肥料よりもメタンガス排出が少ない肥料を利用

稲わらを田んぼに鋤きこむと分解されて肥料になりますが、稲わらの腐熟(肥料化)促進のために分解肥料を使用することがあります。然土の酒米を栽培する際、一般的な分解肥料よりもメタンガスの排出が少ない分解肥料を利用することで、メタンガス排出を抑制しました。

メタンガス排出抑制に加えて、さらに、通常は廃棄や飼料化される精米後のもみ殻の一部を「然土」のラベル素材に利用することで、アップサイクルも実現しています。

然土

松竹梅白壁蔵「然土」



リサイクル啓発冊子の無償配布

宝酒造では、子どもたちへのリサイクル啓発活動として、飲み物容器のリサイクルの工程を漫画でわかりやすく説明した絵本「リサイクルロード」を作成し、環境活動のホームページで公開しています。

生態系・生物多様性の保全

生態系や生物多様性を守る活動や研究への助成

宝ホールディングスは、1985年に公益信託「タカラ・ハーモニストファンド」を設立し、以来毎年、日本の森林・草原や水辺の自然環境を守る活動や、そこに生息する生物を保護するための研究などに対して助成を行っています。助成先の選考は自然科学分野の専門性の高い有識者により構成される運営委員会により行われます。
2023年度は、多数の応募の中から「繁殖期におけるコシアカツバメの減少要因を探る」など10件の自然環境保全に関する活動・研究が選ばれました。38年間の助成件数はのべ411件、助成金累計額は1億9,446万1千円となりました。

コシアカツバメ

コシアカツバメ

贈呈式

贈呈式の様子

環境マネジメントシステム

国内製造拠点(宝酒造全6工場)および宝ホールディングス本社、宝酒造本社、宝酒造インターナショナル本社でISO14001の認証を取得しています。

宝グループ全体の生産拠点におけるISO14001の認証を受けた事業所の割合は67 %です。


環境法令の遵守状況

宝酒造では、環境マネジメントシステムISO14001に準じて、環境に関連する法令(フロン排出抑制法、地球温暖化内作推進法、省エネ法、水質汚濁防止法等)を遵守しており、いずれも基準値を下回る排出量となっています。
また、組織が同意するその他の要求事項も遵守しており、2023年3月期における環境法令違反による罰金および処罰事項はありませんでした。

環境保全活動への賛同

宝グループは、地球規模の課題である海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた取組を推進するため、CLOMA(Japan Clean Ocean Material Alliance)に加入しています。また、紙パッケージにおいては、FSC、PEFC等の森林認証紙化を進めることで、環境保全活動に寄与しています。

Icons of Whisky Awards 2023 におけるトマーチン社の
「サステナブル・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー」受賞について

英国のトマーチン社がIcons of Whisky Awards 2023において、「サステナブル・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。
Icons of Whisky Awardsは、ウイスキーマガジン社が主催し、毎年エディンバラで開催される英国国内の各分野で優れた人・バー・生産者・小売業者を称える賞です。
トマーチン社はスコッチ・ウイスキー協会(SWA)のメンバーとともに、2040年までに事業活動におけるCO2も含めた全ての温室効果ガスの排出を完全にゼロにするという目標(Net Zero Emissions)達成に向けて取り組んでおり、その取り組みが評価されたものです。

  • ※ CO2も含めた全ての温室効果ガスの排出量を実質(ネット)でゼロにすることで、排出量をゼロにするのではなく、排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにするというもの
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宝酒造GHG排出量及び排出原単位

宝酒造GHG排出量及び排出原単位

宝グループ環境活動レポート

宝グループの環境に関するデータ・活動は環境活動レポートでもご覧いただけます。

ESGデータ