ホーム > ニュース > 2017年6月13日

自然環境保全の推進に貢献する「公益信託タカラ・ハーモニストファンド」
平成29年度(第32回)の助成先決定
~11件、助成金額総額504.5万円~

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自然環境保全の推進に寄与することを目的として設立された公益信託タカラ・ハーモニストファンドの平成29年度の助成先が、運営委員会の審査を経て、このほど別表の通り決定しました。

本年度の助成先は、団体、個人あわせて11件で、助成金額合計は504万5千円です。

公益信託タカラ・ハーモニストファンドは、1985(昭和60)年に宝ホールディングス(当時は寳酒造)の拠出基金(信託財産)をもとに設立され、その基金及び運用益によって自然環境保全に関する研究・活動への助成を長きにわたって続けています。32年間の助成先はのべ344件、助成金累計額は1億6477万6千円となりました。

今年は初めて富山県を対象とした研究が選出されたことにより、公益信託タカラ・ハーモニストファンドの助成先の研究・活動エリアはこれまでに46都道府県となり、全国各地に広がっています。今後ともこれらの研究・活動への助成を通じて、自然環境保全の推進に貢献してまいります。

2017年度 タカラ・ハーモニストファンド 助成先 一覧

 

助成先

助成額
活動地域

テーマ
活動・研究の内容、目的、助成金の用途等




北海道海鳥センター
20周年記念事業実行委員会
代表者:金田 幸太郎

50万円
北海道

北海道海鳥センター20周年を契機とした普及啓発事業の実施
羽幌町は、絶滅危惧種のオロロン鳥やウトウをはじめとする海鳥の楽園・天売島、島の3分の1が原生の森である焼尻島など自然環境に恵まれた地域である。平成29年の北海道海鳥センター会館20周年を契機として、希少海鳥類や自然環境保護の普及啓発を目的に、主に町民を対象とした各種イベントを実施する。町民に当センターの活動に参加してもらうことで自然環境の保護や生態系理解など環境に対する意識向上が図られるともに、地域がもつ魅力や本来あるべき町の姿を再認識することができ、将来に向けた人材育成、さらには地域活性化につながる。また、「天売島=海鳥」のイメージを広めるため、デザインコンテストを実施する。

伊勢のウシモツゴを守る会
代表者:藪谷 茂

50万円
三重県

伊勢市のウシモツゴの保全
三重県内のウシモツゴの野生生息地は3ヶ所しか確認されておらず、絶滅の危機に瀕している。鳥羽水族館では伊勢市内の近接した2池の内1池の野生個体を保護し域外保全として累代飼育していたが、飼育のみに偏ってしまい、包括的な保全ができていなかった。そこで生息地の自治会、三重大学、三重県立博物館(現三重県総合博物館)、三重県農林水産部などに参画してもらい、「伊勢のウシモツゴを守る会」を立ち上げた。この会を基礎として地域ぐるみの保全を目的としている。

伊勢志摩国立公園
パークボランティア連絡会
代表者:古田 儀之

47.5万円
三重県

水辺生物の生息地保全と外来種オオフサモの駆除活動
三重県志摩市阿児町鵜方の創造の森横山しょうぶ園やビオトープには、絶滅危惧種であるホトケドジョウやミナミメダカが生息し、アサザやヒメコウホネ、オオトリゲモなどの水草も生育している。また、アカガエルの産卵地となっており、環境省のモニタリングサイト1000里地調査の調査地にも選定されている。しかし、ここに特定外来生物のオオフサモが侵入して大繁茂したため、これまで環境省によって駆除作業が行われてきた。ところが環境省の予算が平成28年度で終了し、そのまま放置すれば再繁茂する可能性が高いため、ボランティア活動によって駆除作業を継続し、あわせて希少生物の保護に資する。

竜の森林保全の会
代表者:岩谷 一好

25万円
三重県

里山・木育の森づくり
半世紀余り前まで、私達の生活にとってエネルギー源として欠かすことのできない物であった薪や木炭は、石油・電力に変化した。それと共に、当地の森も大きく変容し、私達が子どもの頃カブトムシを追いかけ夢中になって遊んだ空間でもあった雑木林は放置されたり、杉・桧の林にと姿を変えて現在に至っている。竜の森林保全の会は4年にわたって鈴鹿国定公園宇賀渓一帯の森林保全活動及び森林の効果的利用を図るため、炭焼き体験、森林浴、自然観察会等を開催してきた。今年度も、上記題名のもと、環境教育・炭焼き文化の継承を含めつつ、さらに充実させたい。

水辺に親しむ会
代表者:新城 賢浩

35万円
大阪府

市民参加型の水生生物調査を核とした水辺環境の体験学習活動
大阪のベッドタウンである寝屋川市の街中には、河川や用水路や溜め池など、さまざまな環境の水辺が存在する。これらの水辺では、シロヒレタビラ(絶滅危惧Ⅰ類)やヨドゼゼラ(同)など、日本の淡水魚約300種の11%にあたる34種の淡水魚の生息が確認されている(当会調べ)。しかし、街中に残るこの豊かな水辺の生態系は、環境の悪化や外来生物の侵入などにより、少しずつだが確実に損なわれている。こうした現状を踏まえ、本活動は、市民の手による水生生物調査をはじめとする水辺環境の体験学習活動を通じて、市民一人一人が水辺の環境を体験的に学ぶ機会を提供し、水辺環境保全の機運を高めることを目的としている。




三浦 一輝(個人)

50万円
北海道

希少淡水二枚貝カワシンジュガイにおける絶滅・機能消失までの時間的な遅れ
カワシンジュガイ(以下二枚貝)は殻長15 cmになる河川性の二枚貝である。淡水生物の中でも長寿命種(>100歳)であり、濾過食により河川の物質循環に大きな影響を与える。しかし近年、生息地の劣化などにより本種は絶滅の危機に瀕し(環境省RDB:絶滅危惧Ⅱ類)、残された個体群でも再生産が停止して稚貝の欠落したものが数多くある。これはつまり、現状では長寿命により生き続ける個体群も、世代交代が行われず“死にゆく個体群”となる可能性があり、それに伴い生態系機能も大きく低下する可能性がある。本研究では二枚貝の①死にゆく個体群の分布と規模、絶滅までの残り時間を推定、②各個体群が持つ水質浄化機能を定量化する。

宮城県多賀城高等学校
代表:小泉 博

50万円
宮城県

海藻類による環境評価方法の開発と環境保全
東日本大震災によって東北地方の海や周辺環境は大きく変化した。しかし、震災から5年が経過し、その記憶が薄れつつある現在、環境的な視点からの海の復興は大きく取り上げられていない。平成28年3月段階で水産業における海藻類の復興はワカメで76%、コンブで52%と進んでおらず、その要因についての評価も行われていない。そこで,海の生産者である海藻類の最適な生育条件を検証し、海藻類を指標として海の環境を評価することを目的として本研究を実施する。さらに,海の環境と護岸や河川といった周辺環境を総合的に評価することで、再開発や環境保全について広く提案するとともに、今後の環境保全や復興を担う人材育成を行う。

村上 正志(個人)

50万円
福島県

東北地方の河川におけるサケ科魚類への放射性Csの移行経路
2011年3月に起こった、東日本大震災に伴う原発事故により、大量の放射性物質が放出された。その中でもセシウム(Cs)は、半減期が比較的長く、生態系内に長く滞留すると考えられる。しかしながら、事故から6年が経過し、放射性物質に関する調査研究は目に見えて減少している。このような未曾有の災害を経験した当事国の研究者として、この課題に継続的に取り組む責務があると考える。
 東北地方のサケ科魚類については、事故後6年を経過した現在でも、食品の汚染基準を上回る高い放射性Cs濃度が記録されている。そこで、本研究では、河川生態系において、放射性Csの魚類への移行経路を特定することを目的とする。

岩嵜 利勝(個人)

50万円
富山県

近年の富山県内におけるゲンジボタル生息数と水辺環境の関係調査
ゲンジボタルは、身近な昆虫として昔はよく見られた。しかし、用水の改修や農薬散布等により数を減らし、絶滅が心配されるまでになっていた。
 近年、県内の数カ所で生息数の回復が見られている。幼虫の食料であるカワニナの増加によるものであるが、カワニナの増加に農業方法の変化(農薬散布の変化)があると考えている。
 中田中学校のある高岡市中田地区は湧水地帯で、他の地区でゲンジボタルが減少したときにもたくさん見られ、ゲンジボタルの里として知られている。中田地区と生息数が回復した地域の水辺環境を詳しく調べ、ゲンジボタル生息数回復のための環境を明らかにしたい。

柏木 健司(個人)

50万円
富山県

富山県東部の黒部峡谷における現生哺乳動物相に関する研究
富山県東部の黒部峡谷における、現生哺乳動物相の分布と多様性を知り、そのデータを基にその成立過程を明らかにするとともに、今後の変遷過程を予測することを目的とする。急峻な地形が連続する黒部峡谷では、哺乳動物相の成立は気象や地形・地質条件など、複合的な要因が複雑に絡み合う。例えば、豪雪地域であるが故に、ニホンザルは自らの防寒の為に洞窟を厳冬期に利用することで、豪雪の黒部峡谷に進出し得たことが判明している。一方、近年ではこれまで生息していなかった中・大型哺乳動物(ニホンジカやハクビシン)の侵入が確認され始めている。哺乳動物相の成立過程と未来予測をする上で、現状を詳細に知ることが緊急の課題である。

野間 直彦(個人)

47万円
滋賀県

伊吹山頂草原植物群落のシカ食害からの回復手法
日本百名山にも挙げられている伊吹山(1377m)の山頂部は、「伊吹山頂草原植物群落」として天然記念物に指定されている。かつて行われた草刈が1960年代にやんでから植生遷移が進み草本の種多様性が低下した。それを防ぐため低木や草を刈るなどの対策が行われてきたが、2010年頃からはニホンジカ増加の影響が目立つようになった。植生防護柵、シカ捕獲などの対策を行っているが、多種の摂食と特定の不嗜好種の増加、掘り起こしによる裸地の増加が進む。本研究では、柵設置・不嗜好種刈取と組み合わせた植生調査、裸地の回復過程の調査、シカの利用実態の調査により、多様な草原植物群落回復のための管理手法を確立する。

 

助成総額

504.5万円

 



公益信託タカラ・ハーモニストファンド概要

【名称】

 公益信託タカラ・ハーモニストファンド

【設立趣旨】

 緑と水に恵まれた良好な自然環境の保全および創出に寄与する。

【委託者】

 宝ホールディングス株式会社

【受託者】

 みずほ信託銀行株式会社

【拠出信託財産】

 3億円

【設立時期】

 1985(昭和60)年10月

【主務官庁】

 環境省

【事業】

  • 日本の緑を構成する森林、木材などの陸域の自然環境を保護するための研究・活動に対して助成します。
  • 海、湖、河川などの水域の自然環境(水棲生物を含む)を保全するための研究・活動に対して助成します。
  • 信託目的を達成するために必要と認められる普及・啓発事業をおこないます。
  • その他、信託目的を達成するために必要と認められる事業をおこないます。

【信託管理人】

 前田 達明   京都大学名誉教授

【運営委員長】

 八木橋 惇夫 元環境事務次官

【運営委員】

 布谷 知夫  三重県総合博物館特別顧問
 沢田 裕一  滋賀県立大学名誉教授
 斎藤 清明  元総合地球環境学研究所教授
 鹿野 久男  元財団法人国立公園協会理事長
 遊磨 正秀  龍谷大学理工学部教授
 中尾 大輔  宝酒造株式会社代表取締役副社長
 鷲野 稔   宝ホールディングス株式会社取締役
        宝酒造株式会社取締役



助 成 実 績

 

年度

助成件数

助成金合計(万円)

1

1986年

7

405

2

1987年

9

500

3

1988年

10

500

4

1989年

12

580

5

1990年

12

600

6

1991年

15

700

7

1992年

12

500

8

1993年

11

620

9

1994年

10

500

10

1995年

12

600

11

1996年

11

502

12

1997年

11

468

13

1998年

10

500

14

1999年

11

500

15

2000年

11

500

16

2001年

11

500

17

2002年

12

500

18

2003年

10

500

19

2004年

11

550

20

2005年

11

500

21

2006年

11

500

22

2007年

10

500

23

2008年

10

500

24

2009年

10

498.9

25

2010年

11

486

26

2011年

10

498.4

27

2012年

10

496.7

28

2013年

10

487.4

29

2014年

11

480.8

30

2015年

10

494.7

31

2016年

11

505.2

32

2017年

11

504.5

合 計

344

1億6477.6万円